2011年7月22日 archive

週刊現代7/30日号に従姉妹の論文「玄海原発3号機大爆発とその影響にいて(2010)」

母方の従姉妹、後藤曜子が立命館大学国際関係学部にて2010年に発表した論文が、「玄海原発3号機大爆発とその影響について」の記事として、週刊現代で取り上げられている。先日、佐賀大学で開催されたap bank forum in 佐賀 でも、小林武史氏らとのトークセッションに参加。

10km以内では全員が急性死。西風の影響下にあり、福岡で207万人、風下となる大阪、愛知、東京など、総死者数700万人超。

学部の論文と侮る無かれ。知らなかったが、従姉妹、京大原子炉実験所の小出裕章先生に指導を受けて執筆とな…。うらやましいw。センセーショナルな死者予想に見えるが、従姉妹は原子力工学が専門ではなく、環境経済学専攻であるため、実際のシミュレーションは小出先生による物。311以前の日本ではほとんど見向きもされない論文だったかもしれないが、今ならどうだろう。

論文の全文(PDF)は
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/genpatu/GotoYoko.pdf

「佐賀県玄海原子力発電所におけるプルサーマル事故被害予測」(後藤曜子)

週刊現代の記事は7/30日号をご覧下さい。小出助教のコメント有り。

佐賀県で、日本最初のプルサーマルを了承するか否かの際、僕も、この従姉妹家族(母の実家)も、内容を良く知ってもらい、問題点を明確にするために、市民活動で学習会、コンサート…住民投票条例のための署名活動など…できることを精一杯やった。が、結局、国民的関心や議論を呼び込めず、2009年末、ひっそりと、よくわからない利権と共に、玄海原発3号機がプルサーマルにより臨界、すぐに営業運転開始…。そこからは、様子見していた自治体も次々とプルサーマルに踏み切り、過去に前佐藤知事がプルサーマル拒否していた福島第一原発3号機もプルサーマル化。そのせいで、今も、プルトニウム燃料を含む状態で、いろいろダダ漏らし。悲しくて仕方がない。

ただ、私自身は、当時、市民活動でのプルサーマル講師役もつとめながら、この論文にあるような大爆発は「無い」と踏んでいた。主に問題視していたのは、使用済み燃料がさらに扱いにくく長期にわたる管理が必要になってしまうこと。それを、子々孫々に押しつけてしまうことであった。

甘かった。

電力会社や関係企業、利権側による、データを恣意的な利用、やらせやサクラの動員、市民にはもちろん、補助金無しでは企業としてもハイリスクノーリターンであること…などは解っていたが、日本企業の技術力や細やかな安全配慮…にだまされて、爆発的な事故はおそらく無いと思っていたのだ。

まさか、2m以上の厚みで作る、建屋の壁が飛ぶような、圧力容器が開いてしまうような事故が起ころうとは…

311以前は、推進派はもちろん、脱原発側も甘かったのかもしれない。

この論文、「想定外」と一蹴せずに、あらためて、今、読んでみたい。

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お坊さん性教育 中学生の感想文を読んで

先日の中学校での性教育講演の感想文を読んだ。

みんな、すごい。それぞれ、理解度は違うものの、それぞれの興味の範囲で内容をピックアップして感想に書いているが、それが、ちりばめたトピックにうまく分散している。

1年生4クラス、3年生5クラス。今回、それぞれ直後の「帰りの会」の短時間しか記述時間を取れなかったとの話だが、みんな、自由記述で一生懸命書いてくれていた。…ので、読むのも大変だが、読み応えアリ。笑いあり、感心あり。

感想文によく挙げられていたトピック(結果的に、これが全体像)

(話の内容   …  感想文の例)

  • 「お坊さんは悩みや苦しみを抱える人(あなた)の味方」 … 「霊を慰める人と思っていた」など
  • 「次代をより良くするために授業(教育)がある」 … 「今の大人社会を変えていきたい」など
  • 「生」と「死」は別々のものではないこと …  「驚いた」など多数
  • 「いのちを大切に」ってどういうこと?の問い … 「答えきれなかった」など
  • 「必ず死ぬから『今』がある」こと … 「言われてみればその通り」「死にたいと思っていた」など
  • 「いのちはずっと繋がっている」こと … 「生まれてから死ぬまでが生だと思っていた」など
  • 「性の話は、いのちの話、私が生まれてきた話」 … 「エロ/気持ち悪いと思っていた」など
  • 「思春期の体と心の変化はいのちをつなぐ準備」 … 「気持ち悪いことと思っていた」など
  • 「体と心の変化には男女差、個人差有り」 … 「友達と違っていて悩んでいた」など
  • 「異性への関心、性指向も男女差、個人差有り」 … 「友達と違っていたけど安心した」など
  • 「相互信頼と相互尊重あっての彼氏・彼女」 … 「好きだけじゃヤバイ」など
  • 「したいこと、したくないことは話し合うべき」 … 「自分勝手でした」など
  • 「こどもは作るのではなく、『授かる』こと」 … 「確かに私は親の持ち物ではない!」など
  • 「望まない妊娠・中絶/不妊の苦しみ」 … 「簡単な話じゃないことがわかった」など
  • 「避妊に100%は無いこと」 … 「驚いた」「知らなかった」など
  • 「子供を育てる覚語と責任」 … 「考えていなかった」「まだ無理だ」など
  • 「男性側の意識と責任」 … 「男は関係ないと思っていた」「男任せにできない」など
  • 「中絶は本人も、する人(医師)も深い傷を負う」 … 「医師のことは考えていなかった」など
  • 「胎児も中絶時に逃げようとすること」 … 「生まれてなくてもいのちなんだ」など
  • 「中絶を選択せざるを得なかった場合の考え方」 … 「望まない妊娠は避けたい」など
  • 「一人で悩まず、相談できる大人を」 … 「信頼できる大人がいない」「探したい」など

項目がすごく多いように見えるが、同じ話の中での表現差。それぞれ、気に入った部分を選んで記憶していることが伺える。この分野での講演の師匠、岩室紳也先生の経験則から「短い話題をつなぐ」のが子ども達には聞きやすいということは教わっていたが、たくさんすぎると聞けないのでは?との心配は無用だった。子ども達は、自分が今聞きたいことを選択して記憶する。興味のない分野は、話者がどうがんばっても難しい。話そのものに興味を持たす必要がある(至難…)。

全体への感想としては

  • 「今を精一杯生きる」を実践したい
  • 今までも性教育は受けてきたが全然違う切り口でよかった
  • ストレートでわかりやすかった
  • 性と生を考える必要性がわかった
  • 生きることと死ぬことを真剣に考えようと思った
  • いのちを大切に…の意味を考えようと思った
  • 将来役立てます
  • 保健の授業よりわかりやすかった
  • 性に関心はなかったが、避けて通れないと思った
  • 言葉が難しい割には理解できた気がする
  • どちらかというと「生」の話だった

少数意見、番外編

  • 知らないことばかりでつまらなかった
  • 気持ち悪くなった
  • 意外と面白かった
  • 「死ぬ」を説明できないので「死ね」って言うのやめます
  • なかなかいい話だった
  • がんばってください応援してます
  • 他の中学校の生徒にも話してあげてください
  • なんでパソコンに触らずにスライドがうごくの?

話す方としては精一杯どころか、いっぱいいっぱいだったが、感想文だけみると、ものすごくいい話のように見えてしまう。これは恐ろしいことでもあるが、こういう話を本当に聞いたことがないのだと思うと、それも恐ろしい。

いのちの部分の話、性教育としては珍しいかもしれないが、お坊さんとしては「当たり前」の話で、おそらくどのお坊さんでもできるような話。当たり前すぎて、わざわざ話さないのかもしれない。どれだけ、子ども社会とお寺、仏教が乖離してしまっているか、猛省。恐らく、保護者世代でも初耳なのではなかろうか…。

田舎の中学生は純粋…に見えるが、基本的に、感想文は書きやすいトピックで当たり障り無く書く。優等生的な回答がほとんどだ。だが、いじめられた経験、今いじめにあっていること、死にたいと思うこと、最近死別の縁にあったことなど、記名で担任に見られる事も覚語の上で相談を書いている子も居る。これらは、質問を書いている子らと共に、学校宛に封書で返事を届けたい。(果たして検閲されずに届くのか?)

折角、学校が持っている性教育の時間に割り込むことができる縁があるので、これは、なんとか子ども達のために活かしていく形をつくりたい。

 

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